クライアントワークの納期が迫っている時に限って、急にMacがインターネットに繋がらなくなる…そんな「Mac DNSルックアップエラー」に遭遇したことはありませんか?
このエラーは本当に焦りますよね。しかし、その原因さえ分かれば、意外と簡単に解決できるケースが多いのです。
この記事では、現役WEBデザイナーの皆さんが遭遇しがちな「DNSルックアップエラー」の具体的な対処法を徹底解説します。
「DNSルックアップエラー」がWEBデザイナーの作業を止めるとき
まずは、このエラーが具体的に何を意味しているのか、そしてなぜあなたのMacで発生するのかを理解しましょう。DNSルックアップエラーとは?
DNSルックアップエラーとは、あなたのMacが「ウェブサイトの住所(ドメイン名)」を「インターネット上の正しい番地(IPアドレス)」に変換できない(=名前解決できない)ために発生する接続障害であります。人間が「Google」という名前でウェブサイトを識別するのに対し、コンピューターは 172.217.161.164 のような数字の羅列(IPアドレス)で通信を行います。この「名前」と「番地」を結びつける役割を担っているのがDNS(Domain Name System)です。
電話帳に「〇〇株式会社」の名前で電話番号を探すようなものですね。DNSルックアップエラーは、この電話帳の検索機能がストップしている状態を指します。
Macでこのエラーが起きる3つの原因
このエラーの根本原因は多岐にわたりますが、Macユーザーとしてまずチェックすべき主要な原因は以下の3つに集約されます。- ルーター/モデムの一時的な不具合:長時間稼働による熱暴走やメモリの過負荷などが原因となる場合があります。これが最も多い原因かもしれません。
- Mac側のネットワーク設定のキャッシュ異常:以前の古い情報がMacの内部に残存してしまい、正しいDNSサーバーへの接続を妨げているケースです。
- ISP(プロバイダー)側のDNSサーバーの一時的な障害:稀にありますが、契約しているプロバイダー側のサーバー自体がダウンしていることも考えられます。
Mac DNSルックアップエラーの即効性ある具体的な対処法 5ステップ
最も簡単かつ効果の高いものから順に対処法をご紹介します。このエラーで失われる作業時間を最小限に抑えましょう!
①まずはモデムとルーターを再起動する(90%はこれで解決!)
これは基本中の基本ですが、最も効果的な対処法です。ほとんどの一時的な接続不具合は、機器の電源を入れ直すことで解消されます。
- モデムとルーターの電源をオフにする。
- 電源をオフにした状態で、完全に5〜10分待つ(コンデンサの電力を放電させ、メモリをリセットするため)。
- モデムの電源をオンにする。完全に起動するまで待機(約2〜3分)。
- ルーターの電源をオンにする。これも完全に起動するまで待機(約2〜3分)。
②MacのDNSキャッシュをリセット(クリア)する
ルーターの再起動で直らない場合、Macに保存されている古いDNS情報(キャッシュ)が原因の可能性が高いです。これを強制的に削除(フラッシュ)することで、Macは最新の情報を取得しにいきます。Macでターミナルを開き、以下のコマンドを実行してください。
|
1 |
sudo dscacheutil -flushcache; sudo killall -HUP mDNSResponder |
コマンド実行後、パスワードが求められるので入力して再度接続を試みます。
③DNSサーバーを手動で変更する
プロバイダー側のDNSサーバーに問題がある、あるいは応答が遅い場合に有効です。世界的に信頼性の高い「パブリックDNS」に切り替えることで、安定性が向上します。
以下のパブリックDNSサーバーは、速度と信頼性でWEBデザイナーからも高く評価されています。
| サービス名 | IPv4 プライマリ | IPv4 セカンダリ |
|---|---|---|
| Google Public DNS | 8.8.8.8 | 8.8.4.4 |
| Cloudflare DNS | 1.1.1.1 | 1.0.0.1 |
設定手順
- アップルメニュー 👉 システム設定(またはシステム環境設定)を開きます。
- サイドバーからネットワークを選択します。
- 使用中の接続(例: Wi-FiまたはEthernet)を選択し、詳細… または 設定 をクリックします。
- タブメニューからDNSを選択します。
- 左下の「+」ボタンをクリックし、上記の表から好きなDNSアドレスを入力して追加します。
- 元の(ISP提供の)DNSアドレスを「-」ボタンで削除するか、追加したものをリストの一番上にドラッグして優先させましょう。
- OK または 適用 をクリックして設定を保存します。
④ネットワーク設定(場所)を新規作成する
Macのネットワーク設定ファイル自体が破損している、または複雑な設定が絡んでいる場合に、まっさらな設定で接続し直す方法です。- Mac のシステム設定 👉 ネットワーク を開きます。
- ウィンドウ下部にある「場所」のドロップダウンメニューから「場所を編集…」を選択します。
- 「+」ボタンをクリックし、「新規の場所」など任意の名前(例: Test-DNS)を付けて完了をクリッ クします。
- 新しく作成した場所を選択し、Wi-FiまたはEthernetの設定を最初からやり直します。
- これで設定ファイルがリセットされるため、再度インターネット接続を試します。
⑤Macをセーフモードで起動する
上記の方法で解決しない、かつ他のデバイスは接続できている場合、Macにインストールされているサードパーティ製のソフトウェア(セキュリティソフトなど)がネットワーク通信を妨害している可能性があります。セーフモードで起動し、接続できるかを確認することで、原因がシステム外にあるのかどうかを切り分けることができます。
トラブル発生なくとも知っておきたいDNSの「なぜ?」
最後に、DNSの仕組みをしっかり押さえておきましょう。①DNSの役割:インターネットの「電話帳」
DNSは、あなたがブラウザに「https://www.google.com/url?sa=E&source=gmail&q=web-antenna.net」と入力した際に、それをサーバーが理解できる「IPアドレス」に翻訳する、インターネットの根幹を支える仕組みです。WEBデザイナーがドメインを設定し、サーバーと紐づける作業(ネームサーバーの設定)は、まさにこのDNSの仕組みを操作しているのです。
②DNSレコードの種類
ドメインがどのサーバーを参照するかを定義するのがDNSレコードです。代表的なものを覚えておくと、サーバー移管やメール設定の際に役立ちます。| レコード名 | 役割 |
|---|---|
| Aレコード | ドメイン名とIPv4アドレスを結びつける基本レコード。 |
| AAAAレコード | ドメイン名とIPv6アドレスを結びつけるレコード。 |
| CNAMEレコード | あるドメインを、別のドメインの別名として扱うためのレコード。(例: www.web-antenna.net を web-antenna.net に向ける) |
| MXレコード | そのドメイン宛のメールが、どのメールサーバーに送信されるべきかを指定するレコード。 |
③DNSルックアップの仕組み (4つのステップ)
ブラウザにURLを入力してからウェブサイトが表示されるまでには、実は4種類のサーバーが連携しています。- リゾルバー(Resolver):まずあなたのMac(またはISP)が担当。キャッシュを確認し、なければルートサーバーに問い合わせます。
- ルートネームサーバー(Root Name Server):世界の頂点に位置するサーバー。.com や .jp などのTLD(トップレベルドメイン)を管理するサーバー(TLDネームサーバー)の住所を教えます。
- TLDネームサーバー(Top-Level Domain Name Server):ドメインの拡張子(例: .com)を管理。問い合わせのドメイン(例: web-antenna.net)の権威ネームサーバーの住所を教えます。
- 権威ネームサーバー(Authoritative Name Server):ドメイン所有者が設定したDNSレコードを保持するサーバー。ここで初めて「https://www.google.com/url?sa=E&source=gmail&q=web-antenna.net」の正確なIPアドレスが回答されます。
この連携のどこか一つでも滞ると、あなたのMacは目的のウェブサイトに辿り着けなくなるのです。
【まとめ】エラーを恐れず、冷静に対処!
Macの「DNSルックアップエラー」は、一見複雑に見えても、その原因のほとんどは一時的な不具合やキャッシュの残存によるものですね。| 発生時の対処フロー(優先順位順) | 期待される効果 |
|---|---|
| 1. モデム・ルーターの再起動 | 機器の一時的なエラー解消(最も効果的) |
| 2. DNSキャッシュのクリア | Mac内部の古い情報のリセット |
| 3. パブリックDNSへの手動変更 | ISP側の問題回避と安定性向上 |
| 4. 新しいネットワーク設定の作成 | Mac設定ファイル自体のリフレッシュ |


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